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コンプライアンスニュース 2014年5月号

※2014年5月に発行しましたコンプライアンスニュースの主な記事をご紹介します。
-【目次】
 ▼ 人材の劣化 農林産業研究所 理事 伊藤実氏
 ▼ 合格者の声 株式会社日本パーソナルビジネス 野上大悟さん

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人材の劣化 農林産業研究所 理事 伊藤実氏

 今回のメールマガジンは独立行政法人労働政策研究・研修機構の元研究員で一般財団法人農林産業研究所の理事である伊藤実氏にご寄稿頂きました。

非正社員とお手軽求職の増加
 アベノミクスと呼ばれる積極的経済政策の効果もあって、日本経済もようやくデフレ経済から抜け出しそうな状況になってきている。労働市場も改善傾向が続いており、昨年末には有効求人倍率が1倍を上回り、量的な面からは人手不足の状況に転換してきている。さらに、今年の春闘では、大企業を中心として賃上げを実施する企業が相次いでいる。

 最近のこうした経済情勢だけをみると、日本経済も成長軌道に復帰し始めているように思えるが、経済成長を担う人的資源に目を転じると、はなはだ心もとない現実が横たわっている。日本経済の黄金期であった1980年代には、製造現場を支える優秀な人材を中心として、海外から日本の人材育成法が賞賛された。賞賛された人材育成法の中身は、長期雇用を前提とした幅広い職業能力の形成に、企業が熱心に取り組んだことであった。

 だが、バブル経済の崩壊とそれに続くデフレ経済下で、多くの企業はコスト削減にまい進し、正社員の抑制ないしは削減を推し進めた。これとは反対に、雇用調整が容易なパートや派遣といった非正社員を大幅に増やしており、最近では雇用者全体に占める割合が30%を上回るまでに上昇している。だが、非正社員は正社員と比べて、仕事の内容が同じでも賃金がかなり低いといったことに加えて、能力開発や職業訓練の機会が乏しいといった重大な問題を抱えている。

 非正社員が正社員に移行するには能力開発が不可欠であり、職業訓練の機会を確保・拡充できなければ、正社員への移行は遅々として進まない。現状は悲観的であり、企業も非正社員の能力開発には消極的であり、社会的な職業訓練体制も決して充実しているとはいえない状況にある。

 こうした社会環境のためか、仕事を探す求職者の希望職種は、人手不足の職種ではなく、人余りの職種に集中する傾向が顕著である。求人が求職を大幅に上回っている人手不足職種は、専門技術職や建設関連職、介護・医療関連職などであり、いずれも専門的な知識や技術・技能を必要とする。反対に、求職が求人を大幅に上回っている人余り職種は、一般事務職などである。一般事務職は、パソコンの基本知識があれば応募でき、面倒な教育訓練を受けなくても就職できるいわばお手軽な仕事といえよう。お手軽ゆえに希望者が多く競争は激しく、労働条件の良い求人への就職は難しい。

人材劣化を促進する産業構造の変化
 非正社員が増加している背景には、産業構造の変化が存在している。1980年代に海外から賞賛された日本の製造業は、バブル経済崩壊後は円高も加わって生産拠点の海外移転などによって、雇用を大幅に縮小してきている。また、財政問題から公共工事が大幅に削減された建設業も、大幅に雇用を縮小してきている。これらに代わって雇用を拡大してきたのが、サービス産業である。

サービス産業は繁閑の差が大きく、どうしても非正社員の割合が高くなってしまう。さらに、仕事の中身も難しい仕事は比較的限られており、多くの仕事は誰でもできそうな仕事である。従って、初心者や未経験者でも参入が容易であり、それゆえ離転職者が多いといった特徴を持っている。

 産業構造の変化に伴ってサービス産業の雇用が拡大する傾向が続く限り、雇用構造の非正社員化は押しとどめることができないであろう。従って、産業構造の変化をそのまま受け入れている限り、人材の劣化は進行していくものと思われる。

迫られる人材育成の強化
人材の劣化を押し止めるためには、能力開発・教育訓練を企業や社会で強化していく必要がある。企業においては、コスト削減を優先した経営では、今後強まることが予想される人手不足に対応することは難しい。能力開発・教育訓練の機会を強化し、正社員を希望する非正社員の登用を進めていく必要がある。

雇用が拡大しているサービス産業は、国際的にみて著しく労働生産性が低く、従業員の能力向上を進めながら高付加価値経営を推し進めていくことが不可欠である。高付加価値経営に移行できれば、賃金をはじめとした労働条件の向上も実現することができ、優秀な人材も採用できるようになる。

 また、求職者が人手不足職種への就職を容易にするためには、社会的な教育訓練体制を充実させる必要がある。現在行われている短期的な公的職業訓練は、修了者の多くが就職に結び付いていないという厳しい現実がある。お手軽な職業訓練を縮小し、人手不足職種に就職できる本格的な職業訓練体制を整備・拡充する必要がある。

 派遣の世界も、今後予定される派遣法の改正内容をみると、派遣会社にキャリアアップに結び付く教育訓練の充実を求めている。人手不足の状況下では、教育訓練の充実によるキャリアアップはやり易く、外部環境は整いつつあるといえよう。

○データでみる人手不足○
 伊藤氏よりご指摘頂いた人手不足職種に建設関連職がありました。以下に「建設技能労働者の不足率の推移」のグラフは以下の通りです。平成23年から不足に転じて以降、労働者不足は深刻化しています。
データでみる人手不足

(出所:国交省 建設労働需給調査結果(平成26年2月調査))
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合格者の声

 第8回派遣検定では73名の方が合格されました。このコーナーでは今回の「派遣検定」に合格された方から、合格の秘訣、今後の抱負などをお伺いします。

●合格者プロフィール●
野上大悟さん株式会社日本パーソナルビジネス
東日本営業部
営業統括マネジャー
野上 大悟さん
2012年1月入社
北海道~首都圏まで東日本エリアの営業責任者として取引先との本部折衝や部下の教育など業務全般の管理を行う。
 入社以前より人材業界には12年間携わっており、登録、コーディネート業務、研修業務、派遣スタッフ担当、営業業務など業務全般の経験をしている。

●営業責任者として、知識の再確認のために
―合格おめでとうございます。今回の「派遣検定」受験の理由をお聞かせください。
 昨今労働者の職場環境も複雑化している中で、多様化する労働問題に対応できるよう弊社においては、全社員対象に派遣検定の受験を促進しています。
 私も営業責任者として、知識の再確認、自身の更なるスキルアップを目指し受験させて頂きました。

●同じ内容をさまざまな角度から勉強
―試験対策勉強はどのように進めましたか?
 まず、事前研修は受講しました。日々の業務の中で、知識が曖昧になっていた点や抜けていた点が明確にわかり、とても参考になりました。また、試験勉強に関しては過去問題を解く以上に、問題から派生して、他の事例ではどうするのかなど、色々なケースを想定して、過去問題集、事前研修テキスト、インターネット、派遣法に関する書籍、労働基準法に関する書籍を使って勉強しました。
 勉強は休日や業務終了後など頭がリセットされている状態で、固定概念を持たずに柔軟に吸収できるように行いました。

―複数の事例を想定して勉強されたんですね。他に試験勉強をしていく中で気をつけていたことはありますか?
 過去の問題を見ると、毎回出題範囲が多岐に渡っておりましたので、部分的な対策では合格出来ないという思いがありました。自分が苦手な分野を明確化し、より重点的に勉強を行いました。
 自身においては、労働基準法や労働保険などの知識が浅い部分がありましたので、インターネットや書籍などで、同じ内容を様々な角度から調べ、納得できるまで調べました。そのせいで、なかなか過去問題も次に進めませんでした。
 ただ日々の業務での知識の裏づけにも繋がり充実感はありました。

―では実際に「派遣検定」を受けて気づいたことはありますか?
 自身の知識の浅はかさに愕然としました。理解していると思っていた部分が曖昧だった点に気付き、より深く理解出来たことに感謝しております。
 他の資格試験も受験したことはありますが、正直手強かったです。
 ただ派遣業界のみならず、どのような仕事に従事しても必要になる知識も多く含みますので、とても有意義な検定だと思います。

―これから受験される方へアドバイスをお願いします。
 日々対面する可能性のある知識なので、受験すること自体にとても意味があると思います。裏をかかれるような難しい質問もありますが、基本の部分をしっかり押さえておけば大丈夫です。過去の問題集の丸暗記では厳しいと思いますので、問題内容から自分の不明点や曖昧な点を見つけて徹底的にクリアにすれば良いと思います。
 頑張って下さい!

●部下への指導や現場管理に生かしていきたい
―今後、「派遣検定」をどのように生かそうと考えていますか?
 部下への指導や、現場管理などに生かして参りたいと思います。また派遣先の人事担当の方や責任者の方と商談するケースも多いので、双方の信用を深めるためにも意見等行って参ります。
 また社内の新人向け資料など自身が難しく感じた部分をよりわかりやすく伝えるように、マニュアル化も考えています。

―派遣事業におけるコンプライアンスに関して、普段の業務で感じていることを教えてください。
 求職者の方や、派遣スタッフの方々のコンプライアンスに対する意識は高まってきております。質問を受けた際や、相談を受けた際に迅速に正しい対応が出来るように、私たちは少なからず正確な知識を持っておかなければいけません。
 もちろん法改正など情報は変化することはありますので、都度確認という作業は必要ですが、正しい対応を凛とした姿勢で行うことで、企業、担当営業としての信頼をもってもらえると感じています。
 私も甘んずることなく日々勉強して参りたいと思います。

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